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折たく柴の記

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
新井白石

折たく柴の記』(おりたくしばのき)は、江戸時代中期に新井白石(1657年(明暦3年) - 1725年(享保10年))が書いた自叙伝[1]回顧録。3巻3冊。成立は1716年(享保元年)頃と言われる。『折焚柴の記』とも書く。

新井白石は江戸中期の旗本学者で、将軍徳川家宣期の正徳の治と呼ばれる政治を主導した。

概要

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新井白石の自叙伝、回顧録であり、上巻は白石の祖父母や両親の伝記、白石の生い立ちから甲府家出仕までの出来事、中巻と下巻は幕府関係の出来事が中心で、徳川家宣や徳川家継の政治的業績がまとめられている[2]

また、白石が編纂した諸大名家の系譜諸である『藩翰譜(はんかんふ)』作成のいきさつが記載されている[3][4]

書名について白石自身は言及していないが[2]後鳥羽天皇御製

思ひ出づる折りたく柴の夕煙むせぶもうれし忘れ形見に(新古今和歌集巻第八『哀傷歌』)

に由来するとされる[2]。また、序文に「外ざまの人の見るべきものにもあらねば、ことばのつたなきをも、事のわづらはしきをも、えらぶべしやは」とあり、本来は非公開のものとして書かれたものである[2]。新井家に伝わる自筆本のほか、いくつかの写本が現存する[2]

歴史学のみならず、文学研究では日記文学としての文学性(芸術性)も評価されている[5][6]

刊行本

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原典校訂
現代語訳
英訳

脚注

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  1. ^ 羽仁五郎まえがき」『折たく柴の記』〈岩波文庫 2005-2007〉1949年、10-12頁https://dl.ndl.go.jp/pid/8795570/1/8?keyword=新井白石の自叙伝 
  2. ^ a b c d e 日本古典文学大辞典編集委員会『日本古典文学大辞典 第1巻』岩波書店、1983年10月、525-526頁。 
  3. ^ 緒言」『新編藩翰譜 第1巻』新人物往来社、1977年https://dl.ndl.go.jp/pid/12212485/1/4?keyword=白石は 
  4. ^ 折たく柴の記』〈岩波文庫 2005-2007〉1949年、76-77頁https://dl.ndl.go.jp/pid/8795570/1/41?keyword=書経 
  5. ^ 宗政五十緒「「『折たく柴の記』 新井白石」論(上)」『日本文学』第10巻、日本文学協会、1957年、759-766頁、doi:10.20620/nihonbungaku.6.10_759 
  6. ^ 宗政五十緒「「『折たく柴の記』新井白石」論(下)」『日本文学』第1巻、日本文学協会、1958年、17-18頁、doi:10.20620/nihonbungaku.7.1_17 
  7. ^ 「古典日本文学全集 35 江戸随想集」筑摩書房、1961年。新装版「古典日本文学」1977年
  8. ^ 元版は『日本の名著15 新居白石』中央公論社、1969年

外部リンク

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