第51回有馬記念
第51回有馬記念(だい51かいありまきねん)は、2006年(平成18年)12月24日に中山競馬場で施行された競馬競走である。ディープインパクトがラストランで優勝を果たした。
| 第51回有馬記念 | |
|---|---|
|
優勝馬:ディープインパクト | |
| 開催国 |
|
| 主催者 | 日本中央競馬会(JRA) |
| 競馬場 | 中山競馬場 |
| 施行年 | 2006年 |
| 施行日 | 12月24日 |
| 距離 | 芝2500m |
| 格付け | GI |
| 賞金 |
1着賞金1億8000万円 |
| 出走条件 | サラ系3歳以上(国際)(指定) |
| 負担重量 | 定量 |
| 天候 | 晴 |
| 馬場状態 | 良 |
| 優勝馬 | ディープインパクト |
| 優勝騎手 | 武豊(栗東) |
| 優勝調教師 | 池江泰郎(栗東) |
| 優勝馬主 | 金子真人ホールディングス(株) |
| 優勝生産者 | ノーザンファーム(安平町) |
| 映像外部リンク | |
|---|---|
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レース映像 jraofficial(JRA公式YouTubeチャンネル)による動画 |
レース施行時の状況
[編集]前年の有馬記念で敗れたディープインパクトだが、本年は凱旋門賞で失格(3位入線)となったものの天皇賞(春)、宝塚記念、ジャパンカップを制し国内では敵なしの状況を保っていた。10月に引退を発表し本レースがラストランとなる同馬は、2年連続でファン投票1位となった。しかし、2006年度の有馬記念ファン投票でのディープインパクトへの投票は119,940票であり、2005年度の160,297票と比較すると前年比74%程度まで減少している。
そのほかにも、本年の牡馬クラシック二冠馬メイショウサムソン、天皇賞(秋)とマイルチャンピオンシップを制したダイワメジャー、メルボルンカップから凱旋したデルタブルースとポップロック、ジャパンカップ2着に健闘したドリームパスポートなど、中央競馬の年内最後のメインレースを飾るに相応しいメンバーが揃った。また、出走馬のGI競走勝ち数の合計は有馬記念史上最多の17であった(ディープインパクト6勝、スイープトウショウ3勝、ダイワメジャー3勝、デルタブルース2勝、メイショウサムソン2勝、コスモバルク1勝)。
ファン投票の結果
[編集]- 最終順位上位20頭
| 最終順位 | 馬名 | 票数 | 出否 |
|---|---|---|---|
| 1位 | ディープインパクト | 119,940 | 出走 |
| 2位 | ダイワメジャー | 83,999 | 出走 |
| 3位 | メイショウサムソン | 80,943 | 出走 |
| 4位 | ハーツクライ | 73,650 | 回避 |
| 5位 | ドリームパスポート | 70,860 | 出走 |
| 6位 | スイープトウショウ | 64,727 | 出走 |
| 7位 | カワカミプリンセス | 60,795 | 回避 |
| 8位 | デルタブルース | 52,978 | 出走 |
| 9位 | ダンスインザムード | 46,013 | 回避 |
| 10位 | アドマイヤムーン | 32,422 | 回避 |
| 11位 | ソングオブウインド | 30,020 | 回避 |
| 12位 | アドマイヤメイン | 27,921 | 出走 |
| 13位 | アイポッパー | 25,581 | 回避 |
| 14位 | フサイチジャンク | 25,420 | 回避 |
| 15位 | フサイチパンドラ | 24,299 | 回避 |
| 16位 | アサヒライジング | 17,875 | 回避 |
| 17位 | スウィフトカレント | 17,139 | 出走 |
| 18位 | インティライミ | 16,794 | 回避 |
| 19位 | トウショウナイト | 15,590 | 出走 |
| 20位 | ポップロック | 13,380 | 出走 |
出走馬と枠順
[編集]| 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | 性齢 | 騎手 | オッズ | 調教師 | ファン投票 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 1 | ポップロック | 牡5 | オリビエ・ペリエ | 27.1(5人) | 角居勝彦 | 20位 |
| 2 | 2 | デルタブルース | 牡5 | 岩田康誠 | 33.7(9人) | 角居勝彦 | 8位 |
| 3 | 3 | ドリームパスポート | 牡3 | 内田博幸 | 12.4(2人) | 松田博資 | 5位 |
| 4 | ディープインパクト | 牡4 | 武豊 | 1.2(1人) | 池江泰郎 | 1位 | |
| 4 | 5 | ダイワメジャー | 牡5 | 安藤勝己 | 14.2(3人) | 上原博之 | 2位 |
| 6 | スイープトウショウ | 牝5 | 池添謙一 | 27.7(6人) | 鶴留明雄 | 6位 | |
| 5 | 7 | コスモバルク | 牡5 | 五十嵐冬樹 | 29.0(7人) | 田部和則 | |
| 8 | メイショウサムソン | 牡3 | 石橋守 | 19.4(4人) | 瀬戸口勉 | 3位 | |
| 6 | 9 | トウショウナイト | 牡5 | 武士沢友治 | 56.4(10人) | 保田一隆 | 19位 |
| 10 | アドマイヤメイン | 牡3 | 柴田善臣 | 32.8(8人) | 橋田満 | 12位 | |
| 7 | 11 | スウィフトカレント | 牡5 | 横山典弘 | 82.9(11人) | 森秀行 | 17位 |
| 12 | アドマイヤフジ | 牡4 | 武幸四郎 | 103.6(12人) | 橋田満 | ||
| 8 | 13 | ウインジェネラーレ | 牡6 | 蛯名正義 | 153.6(13人) | 国枝栄 | |
| 14 | トーセンシャナオー | 牡3 | 勝浦正樹 | 160.4(14人) | 森秀行 |
・内田博幸、武士沢友治、石橋守は本競走初騎乗。
レース展開
[編集]競走は、ゲート入りを嫌がったスイープトウショウが出遅れる形でスタートした。大逃げを宣言していたアドマイヤメインが宣言通り大逃げを打つ展開となった。しかし、それを追いかける馬はおらず、結局2番手だったダイワメジャーが馬群の先頭であったので、実質はこの馬が先頭であった。そのままレースは落ち着き、アドマイヤメインは自滅し、各馬が一斉に直線でスパートをかける瞬発力勝負の展開となり、最も得意とする展開となったディープインパクトは、後方11番手辺りにつけていたが、3コーナー入り口、残り800mのハロン棒を通過したあたりで仕掛けて進出、直線では鞭を1発入れたのみで手綱だけで追い続け、先行馬をまとめて捕らえてゴール。レース後、観客からディープインパクトを称える「ディープ」コールが沸き起こった。
レース結果
[編集]| 着順 | 枠番 | 馬番 | 競走馬名 | タイム | 着差[1] |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 3 | 4 | ディープインパクト | 2.31.9 | |
| 2 | 1 | 1 | ポップロック | 2.32.4 | 3馬身 |
| 3 | 4 | 5 | ダイワメジャー | 2.32.5 | 3/4馬身 |
| 4 | 3 | 3 | ドリームパスポート | 2.32.5 | ハナ |
| 5 | 5 | 8 | メイショウサムソン | 2.32.7 | 1 1/4馬身 |
| 6 | 2 | 2 | デルタブルース | 2.32.7 | クビ |
| 7 | 6 | 9 | トウショウナイト | 2.32.8 | 3/4馬身 |
| 8 | 7 | 12 | アドマイヤフジ | 2.32.8 | クビ |
| 9 | 6 | 10 | アドマイヤメイン | 2.32.8 | ハナ |
| 10 | 4 | 6 | スイープトウショウ | 2.32.9 | クビ |
| 11 | 5 | 7 | コスモバルク | 2.33.2 | 2馬身 |
| 12 | 7 | 11 | スウィフトカレント | 2.33.3 | クビ |
| 13 | 8 | 13 | ウインジェネラーレ | 2.33.6 | 1 3/4馬身 |
| 14 | 8 | 14 | トーセンシャナオー | 2.34.0 | 2 1/2馬身 |
データ
[編集]| 1000m通過タイム | 59秒5(アドマイヤメイン) |
| 2100m通過タイム | 2分08秒7(アドマイヤメイン) |
| 上がり4ハロン | 48.2秒 |
| 上がり3ハロン | 35.4秒 |
| 優勝馬上がり3ハロン | 33.8秒 |
制裁
[編集]- デルタブルースに騎乗した岩田康誠は、最後の直線コースで十分な間隔がないのに先行馬を内側から追い抜こうとしたことについて戒告。
- スイープトウショウは枠入り不良。発走時刻4分遅延したため、発走調教再審査。
払戻
[編集]| 単勝式 | 4 | 120円 |
| 複勝式 | 1 | 360円 |
| 4 | 100円 | |
| 5 | 230円 | |
| 枠連 | 1-3 | 1000円 |
| 馬連 | 1-4 | 1070円 |
| ワイド | 1-4 | 570円 |
| 1-5 | 1840円 | |
| 4-5 | 330円 | |
| 馬単 | 4-1 | 1210円 |
| 3連複 | 1-4-5 | 2890円 |
| 3連単 | 4-1-5 | 9680円 |
達成された記録
[編集](2009年にヴァーミリアンがGI 8勝を、2020年にアーモンドアイが中央競馬GI 8勝を達成)
- ディープインパクトは異なるGI競走7つ[2]を制覇したことになり、これは2024年現在までJRA最多記録[3]
- 海外G1・JpnIを含めても7つのGI競走で勝利している日本馬は、ディープインパクトの他には2024年現在アーモンドアイのみ[4]
- 4歳になる年の終了時点でGI通算7勝は、シンボリルドルフと並ぶ歴代最多タイ(2024年現在)
- 史上8頭目のグランプリ春秋連覇(グレード制導入後では5頭目) - ディープインパクト
- 武豊は1990年(オグリキャップに騎乗)以来16年ぶりの有馬記念2勝目となったが、これは2024年現在同レース史上最長ブランクでの優勝となっている。GI勝利は通算57勝目。中央競馬では通算2869勝目。
- 池江泰郎は1987年(管理馬メジロデュレンが優勝)以来19年ぶりの有馬記念制覇となったが、これは2024年現在松山吉三郎(26年間)・二本柳俊夫(22年間)に次ぐ同レース史上3番目のブランク制覇となっている
入場者数・レース売り上げ
[編集]- 入場人員 11万7251人 (前年比72.2%)
- 売上金 440億2037万7700円 (前年比88.2%)
JRAやマスコミはディープインパクトの引退レースということもあって、入場人員や売り上げの大幅アップに期待していたのだが、入場人員は大幅に落ち込み、売上金も平成に入ってからはイナリワンが勝った第34回有馬記念に次ぐ低さであった。
入場者数や売り上げが激減したことについて、競馬評論家の柏木集保はnetkeiba内のコラムにて「拍子抜けするほど盛り上がらなかった気がする」「拝金のディープインパクト・ビジネスに嫌気のさしたファンがほとんどだった」「ファンは鋭い。今年の有馬記念、たった11万人しか競馬場に来なかった。」と述べた[5]。また、日経新聞運動部記者である野元賢一は、入場人員と売上金低下の原因について「禁止薬物と引退騒動で、ディープインパクトのにわかサポーターは一気に去り「ディープ祭り」に違和感を覚えていた旧来のファンをも白けさせた」と分析している[6]。
レースにまつわるエピソード
[編集]- この競走はNHK放送技術研究所の開発したスーパーハイビジョンによる撮影が行われ、その映像が翌年5月の同研究所の公開イベント(技研公開)にて披露された。
- 三冠馬がラストランで勝利して引退したのは、シンザン(1965年の有馬記念)以来41年ぶりとなった。
- 中山競馬場の全レース終了後、ディープインパクトの引退式が行われた。ナイター照明の中、当日行なわれた有馬記念の4番ゼッケンをつけて、武豊を背に歩いて入場。ファンからのメッセージ紹介の後、ディープインパクトにはこの日のために作られた馬服が贈られた。
テレビ・ラジオ中継
[編集]本レースのテレビ・ラジオ放送の実況担当者
出典
[編集]- ^ “第5回 中山競馬 第8日 成績表”. jra.jp. 2023年1月31日閲覧。
- ^ 皐月賞・東京優駿・菊花賞・天皇賞(春)・宝塚記念・ジャパンカップ・有馬記念
- ^ 他にJRA-GI 7勝を達成したシンボリルドルフ・テイエムオペラオー・ウオッカ・キタサンブラックはいずれも同一GI連覇を経験しているため
- ^ 桜花賞・優駿牝馬・秋華賞・ヴィクトリアマイル・天皇賞(秋)(連覇)・ジャパンカップ(隔年で制覇)、ドバイターフを制覇
- ^ [1]netkeibaより[リンク切れ]
- ^ 野元賢一 (2007年1月27日). “(12/26)去りゆく格差社会のスター”. 日本経済新聞. 2007年1月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年3月28日閲覧。