09式122mm車載榴弾砲
| 09式122mm車載榴弾砲 | |
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| 種類 | 装輪式自走榴弾砲 |
| 原開発国 |
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| 諸元 | |
| 重量 | 15 t(戦闘重量)[1] |
| 全長 | 7.1 m[1] |
| 全幅 | 2.5 m[1] |
| 要員数 | 4名[1] |
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| 主兵装 | 96式122mm榴弾砲[1] |
| 速度 | 70 km/h[1] |
09式122mm車載榴弾砲(中国語: 09式122毫米車載榴彈炮)は、中華人民共和国(中国)が開発した装輪式の自走榴弾砲[2]。PCL-09[3][4]あるいはPLC-09[5]とも呼ばれる。
設計
[編集]6輪トラックの荷台に122mm榴弾砲を搭載した自走榴弾砲であり、人民解放軍内では緊急展開用という位置づけだとみられている[2][5]。諸元については諸説あり、戦闘重量15トン・全長7.1メートル・最大時速70キロメートルとする資料[1]や、戦闘重量16.5トン・全長8メートル・最大時速85キロメートルとする資料[3]などがある。
車体には、1975年から生産開始されて人民解放軍で広く使用されている、陝西汽車製の延安SX250汎用トラックを使用している[1][2][5]。乗員は4名[5]ないし5名[3]で、一部装甲化された車体前部にある乗員室に乗車する[5]。車体中央部には弾薬庫と射撃統制装置、その左右に伸縮式のアウトリガーがあり、後部に主兵装となる榴弾砲の砲座が取り付けられている[2][5]。主砲以外の武装は確認されていない[3]。移動状態から射撃状態への移行は、45秒から55秒で可能とする資料[2]と、1分半から2分半程度とする資料[3]がある。
主砲には、旧ソ連製のD-30榴弾砲から派生した中国製の96式122mm榴弾砲を採用している[3][5]。この砲は限定旋回式の砲座に搭載されており、移動中は前方に向けて固定するが、射撃できるのは後方だけであり、射角は左右に22.5度、俯仰角は0から70度である[2][5]。射程は通常榴弾で18キロメートル、ERFB-BB-RA射程延伸特殊弾で27キロメートルと言われている[5]。射撃統制装置はコンピュータ化され、データリンクも搭載しているとみられており、航法や射撃目標の指示、指揮車両からの目標情報の受領などが行える[3][5]。射撃モードは自動・半自動・手動から選択が可能[5]。車上には弾薬庫もあるが、搭載できる弾薬は即応弾分に限られるため、同型のトラックを使用した弾薬車が随伴する[5]。
通常、本車を装備する砲兵連隊は、6両の09式と指揮車両などからなる射撃中隊を2個と、指揮車両、気象レーダー、対砲レーダー、複数の偵察車両で構成される[3]。
運用
[編集]存在自体は2007年頃から知られており、人民解放軍陸軍への配備開始は2010年頃とみられている[2][5]。2010年の軍事演習で初めて一般に公開された[3]。既存の砲とトラックを組み合わせた09式は使いやすく安価な自走砲であり、それまで装備されていた牽引式の96式122mm榴弾砲を完全に置き換えることに成功した[6]。登場当時としては高度な射撃統制装置を備えた先進的な自走砲であったが、人民解放軍の急激な技術的進歩により相対的にやや旧式化したこと、既存の汎用トラックを流用した車体は連続射撃を行うと金属疲労の危険があることから、新型の122mm車載榴弾砲の開発も行われている[6]。
2024年時点で人民解放軍陸軍に300両が配備されている[4]ほか、ラオス[3][7]、ルワンダ[3][8][9]に輸出も行われている。カンボジアにも輸出されたとする資料がある[3]が、国際戦略研究所が発行している2025年版「ミリタリー・バランス」には記載がない[10]。
派生型
[編集]運用国
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カンボジア[3]
中華人民共和国[3] - 2024年時点で、人民解放軍陸軍が300両の09式を保有[4]。
ラオス[3] - 2024年時点で、ラオス陸軍が6両以上の09式を保有[7]。
ルワンダ[3][9] - 2024年時点で、ルワンダ陸軍が6両のCS/SH1を保有[8]。
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b c d e f g h 荒木 & 井坂 2025, p. 154.
- ^ a b c d e f g 鮎川ほか 2024, p. 222.
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q “PCL-09 Chinese 122mm Self-Propelled Howitzer (SPH)”. odin.tradoc.army.mil. アメリカ陸軍 (2024年8月15日). 2025年11月17日閲覧。
- ^ a b c IISS 2025, p. 242.
- ^ a b c d e f g h i j k l m アルゴノート社 2023, pp. 74–75.
- ^ a b “我军新型122卡车炮疑似亮相开训仪式 采用4X4底盘”. 新浪网 (2020年1月21日). 2025年11月18日閲覧。
- ^ a b IISS 2025, p. 275.
- ^ a b IISS 2025, p. 492.
- ^ a b c “中国车载榴弹炮畅销卢旺达陆军 助其成中非最强军团”. 新浪网 (2019年1月6日). 2025年11月18日閲覧。
- ^ IISS 2025, p. 238.
参考文献
[編集]- Christopher F. Foss, ed (2011) (英語). Jane's Armour and Artillery 2011-2012. Janes Information Group. ISBN 978-071062960-9
- The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2025) (英語). The Military Balance 2025. Routledge. ISBN 978-1-041-04967-8
- 鮎川置太郎ほか『世界の戦車パーフェクトBOOK 決定版』コスミック出版、2024年2月4日。ISBN 978-4-7747-4337-0。
- 荒木雅也、井坂重蔵『世界のAFV 2025-2026』株式会社アルゴノート、2025年4月16日。ISBN 978-4-914974-56-5。
- 『現代中国人民解放軍総覧』アルゴノート社、2023年9月28日。ISBN 978-4-914974-50-3。