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1619プロジェクト

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
"The 1619 Project"
The 1619 Projectのロゴ
著者 ニコール・ハンナ=ジョーンズ英語版
アメリカ合衆国
言語 英語
ジャンル 長編ジャーナリズム英語版
出版元 ニューヨーク・タイムズ
出版日 2019年8月
次作 The 1619 Project: A New Origin Story
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1619プロジェクト英語: The 1619 Project)は、ジェイムズタウンに初めて奴隷が連れてこられた1619年を真のアメリカ合衆国の建国として描いた長編ジャーナリズム英語版歴史記述英語版的な作品である。アメリカ独立革命パトリオットアメリカ合衆国建国の父エイブラハム・リンカーン南北戦争時のアメリカ合衆国といったアメリカ史において古くから尊重されてきた人物や出来事を批評的な観点から描写している[1][2][3][4]。プロジェクトは、ニコール・ハンナ=ジョーンズ英語版ニューヨーク・タイムズのライター、ニューヨーク・タイムズ・マガジンによって製作された。奴隷制度アメリカ合衆国の建国というテーマに焦点を当てている[5]。プロジェクトの最初の作品は、2019年8月のニューヨーク・タイムズ・マガジンに掲載された[5]。プロジェクトはピューリッツァー・センター英語版の支援を受けて教育カリキュラムを開発し、後にブロードシート記事、ライブイベント、ポッドキャストが制作された。

受賞

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プロジェクトの作者ニコール・ハンナ=ジョーンズは、このエッセイにより2020年のピューリッツァー賞コメンタリー部門英語版を受賞した[6][7]。受賞理由として「1619プロジェクトのための広範で挑発的かつ個人的な彼女のエッセイは、アフリカ人の奴隷化をアメリカの物語の中心に据えようとする画期的なものであり、国家の建国と進化に関する国民的な議論を促した」ことが挙げられた[8]

2020年10月、ニューヨーク大学のアーサー・L・カーター・ジャーナリズム研究所は、1619プロジェクトを2010年から2019年の10年間における最も優れた10のジャーナリズム作品の1つとして選んだ[9]

禁止

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ドナルド・トランプは、アメリカ合衆国大統領の任期の最後の数ヶ月間で1619プロジェクトを州のカリキュラムから禁止することを誓い、教師たちは学生に「自分自身の国を憎む」ように教えていると主張して非難した[10]。トランプの提案に呼応して、共和党の議員たちも州の教育カリキュラムから1619プロジェクトを禁止するように働きかけた[11][10]。アメリカ合衆国上院議員のトム・コットン英語版、アーカンソー州下院議員のマーク・ローリー英語版 、アイオワ州下院議員のスカイラー・ウィーラー英語版、ミシシッピ州上院議員のアンジェラ・バークス・ヒル英語版は、それぞれ1619プロジェクトを禁止する法案が提出された。[1][3] 2021年の夏の終わりまでに、27の州がコットンの法案と同様の文言と意図が反映された法案を提出した[12]

フロリダ州知事ロン・デサンティスの下で、フロリダ州の公立学校では1619プロジェクトを教えることが禁止された。初めは2021年のフロリダ州教育委員会の修正案により批判的人種理論が禁止されたことによって禁止され[13]、その後、2022年のストップWOKE法英語版によって再び禁止された[12]

脚注

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  1. ^ Wilentz, Sean (2020年1月22日). “"A Matter of Facts"”. The Atlantic. 2020年5月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月15日閲覧。
  2. ^ "Twelve Scholars Critique the 1619 Project and the New York Times Magazine Editor Responds"”. History News Network (2020年1月26日). 2020年8月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月15日閲覧。
  3. ^ Friedersdorf, Conor (January 6, 2020). “"1776 Honors America's Diversity in a Way 1619 Does Not"”. The Atlantic. 2020年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月15日閲覧。
  4. ^ Wilentz, Sean (November 19, 2019). “"American Slavery and 'the Relentless Unforeseen'"”. The New York Review of Books. 2020年8月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2024年2月15日閲覧。
  5. ^ a b Silverstein, Jake (2019年12月20日). “Why We Published The 1619 Project”. The New York Times. ISSN 0362-4331. オリジナルの2020年1月31日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20200131014950/https://www.nytimes.com/interactive/2019/12/20/magazine/1619-intro.html 2020年1月31日閲覧。 
  6. ^ Nikole Hannah-Jones Wins Pulitzer Prize for 1619 Project”. Pulitzer Center (2020年5月4日). 2020年5月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月4日閲覧。
  7. ^ Commentary”. The Pulitzer Prizes. Columbia University. 2020年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月4日閲覧。
  8. ^ Nikole Hannah-Jones of The New York Times”. The Pulitzer Prizes. 2020年5月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年5月4日閲覧。
  9. ^ Sullivan, Margaret. “Perspective | Here's a list of the 10 greatest works of journalism of the past 10 years. Care to argue about it?” (英語). Washington Post. ISSN 0190-8286. オリジナルの2020年10月15日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20201015002326/https://www.washingtonpost.com/lifestyle/media/best-journalism-decade-top-10/2020/10/14/d4cdbe0e-0d6e-11eb-8074-0e943a91bf08_story.html 2020年10月15日閲覧。 
  10. ^ a b Schwartz, Sarah (2021年2月3日). “Lawmakers Push to Ban '1619 Project' From Schools” (英語). Education Week. ISSN 0277-4232. https://www.edweek.org/teaching-learning/lawmakers-push-to-ban-1619-project-from-schools/2021/02 2023年4月26日閲覧。 
  11. ^ Gabriel, Trip; Goldstein, Dana (2021年6月1日). “Disputing Racism's Reach, Republicans Rattle American Schools” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2021/06/01/us/politics/critical-race-theory.html 2023年4月26日閲覧。 
  12. ^ a b Silverstein, Jake (2021年11月9日). “The 1619 Project and the Long Battle Over U.S. History” (英語). The New York Times. ISSN 0362-4331. https://www.nytimes.com/2021/11/09/magazine/1619-project-us-history.html 2023年4月26日閲覧。 
  13. ^ Asmelash, Leah (2021年6月10日). “Florida bans teaching critical race theory in schools”. CNN. 2022年5月12日閲覧。

参考文献

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外部リンク

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