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AMORC

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
中央に赤いバラが描かれた十字。AMORCの象徴

AMORC: Antiquus Mysticusque Ordo Rosae Crucis: the Ancient Mystical Order of the Rosy Cross)は、「バラ十字会AMORC」としても知られている友愛組織であり、20世紀初頭に米国で再興された薔薇十字団、現代の薔薇十字運動である[注 1]

創設

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この団体はフランスのトゥールーズで活動していた薔薇十字団からの指示により、米国人H・スペンサー・ルイス英語版(1883-1939)によって1915年に創設された[1][2][3][4]

目的

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この団体が公表しているプレスキットによれば、AMORCの活動の目的は、⻑い歳⽉にわたってバラ⼗字会員が受け継いできた哲学、すなわち世界と自然界と人間自体についての 「知」を絶やさないように伝え続け、人類の意識レベルの向上に貢献することである[5]。また同プレスキットによれば、団体のシンボルは金色の十字とその中央に配された赤色のバラであり、十字は人間の体を象徴し、バラは進歩しつつあるその人の魂(soul)を象徴する[5]

運営

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組織構造

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フランスのノルマンディー地方にあるオモンヴィル城は、AMORCのフランス語圏本部とバラ十字国際大学(URCI)の本拠地である。

現在、AMORCは20ほどの各言語の区域に分かれており[6]、それぞれの区域に別々の本部が置かれている。たとえばヨーロッパには、英語[注 2]、 スペイン語[注 3]、ドイツ語、イタリア語[注 4]、オランダ語[注 5]、ルーマニア語[注 6]、ハンガリー語[注 7]、北欧語[注 8]などの区域を担当する本部があり、そして世界の他の地域にも、英語[注 9][注 10]、スペイン語[注 11]、ポルトガル語[注 12]、日本語[注 13]などのための本部がある。フランス語圏を担当する本部[注 14]フランスノルマンディーにあり、アメリカの英語圏を担当する本部[注 15]カリフォルニアサンノゼ市にある。

AMORCの世界総本部(: siège mondial: Supreme Grand Lodge)は、最初はニューヨーク(1915-1918)に設立され、その後サンフランシスコ(1920-1925)、タンパ(1925-1927)を経て、カリフォルニアサンノゼ市のバラ十字公園英語版[注 16](1927-)に移転した[1][7]。その後の一時期、世界総本部はモントリオール近郊のケベック州ラシュートフランス語版市に位置していたが、現在この場所は、各言語圏を管轄する本部の代表による年次総会のみに使用されている。現在の世界総本部の公式住所は、米国カリフォルニア州サンノゼ市ナグリー・アベニュー1342(1342 Naglee Avenue - San Jose, CA 95191, United States)である。[注 17]

AMORCは世界中に約25万人の会員を擁しており、そのうち約25,000 人がフランス語圏本部に属している[5]。「バラ十字会員」[注 18]: rosicruciens et rosicruciennes: Rosicrucian)と呼ばれる会員は、希望に応じて「ロッジ」(Lodge)、「チャプター」(Chapter)、「プロナオス」(Pronaos)と呼ばれる地域組織に参加し、そこで会合に出席したり、学習レベルに応じて段階的に行われる入門儀式を受けることができる。AMORCはまた、地域、国家、大陸、さらには世界規模で定期的に大会(「コンベンション」(: convention)を開催しており、2011年8月24日から27日にはブラジルのクリチバで世界大会が開催された。

会員は、理由を述べることなく、いつでも退会することができる。また退会後も、希望をすれば再度入会することができる[8]

活動

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バラ十字古代エジプト博物館

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カリフォルニアサンノゼ市にあるバラ十字古代エジプト博物館の入り口

1929年以来、AMORCは米国西海岸のサンノゼにて、古代エジプト博物館を運営し一般公開している。1932年と1966年の2度にわたり拡張されたこの博物館は、現在、エジプト、ペルシャ、インド、パレスチナから収集された4,000点以上の展示品を有しており、1938年以降、北米における古代エジプトおよびオリエントの遺物コレクションとしては最大級の規模を誇っている[9]

このコレクションは、エジプト探査協会(Egypt Exploration Society)などの科学機関や、各国の国立博物館(ベルリン、ロンドン、カイロ、バチカンなど)とのAMORCによる国際的な協力体制のもと、研究や調査・発掘を通じて形成された[10]。2004年には、これらの遺物をまとめた『Treasures of the Rosicrucian Egyptian Museum: A Catalogue(バラ十字エジプト博物館の至宝:カタログ)』が出版された[11]

国際博物館会議(ICOM)、カリフォルニア博物館協会(CAM)、およびアメリカ・エジプト調査センター(ARCE)に加盟しているバラ十字古代エジプト博物館には、年間約10万人の来館者があり、そのうち2万6千人は学生や大学関係者である[12]。これらの人たちは、この博物館の開催する学習セッションに参加することができる。また、ザヒ・ハワス博士(エジプトの考古学者)のような国際的に著名な研究者や科学者による講演会も開催され、この博物館の教育的使命がより豊かなものにされている。

バラ十字古代エジプト博物館は創設以来、文化的・科学的な研究プログラムにも参加している。2011年には、所蔵するミイラの一体が、スタンフォード大学およびアメリカ航空宇宙局(NASA)のバイオコンピュテーション・センター(生物学的計算研究所)との協力により研究された[注 19]。この研究に関する記事はタイム (雑誌)に掲載され[13]、ミイラの写真(スキャン画像)の一枚は、アメリカ国立科学財団(NSF)の2006年度の賞を受賞した。現在、この博物館はカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)およびCDLI(楔形文字デジタルライブラリー計画)と協力し、楔形文字のデジタル化を目指す国際研究プログラムに積極的に取り組んでいる。

脚注

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注釈

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  1. ^ Edighoffer(1991)の第2部第5章の題名は「薔薇十字団の再興」であり、McIntosh(1990)の第12章の題名は「現代の薔薇十字運動」であり、当該団体はこの両方で扱われている。
  2. ^ AMORC英語圏本部(英国): https://amorc.org.uk/
  3. ^ AMORCスペイン語圏本部(スペイン): https://www.amorc.es/
  4. ^ AMORCイタリア語圏本部: https://www.amorc.it/
  5. ^ AMORCオランダ語圏本部: https://www.amorc.nl/
  6. ^ AMORCルーマニア語圏本部: https://amorc-romania.org/
  7. ^ AMORCハンガリー語圏本部: https://www.amorc.hu/
  8. ^ AMORC北欧語圏本部(スウェーデン): https://www.amorc.nu/se/
  9. ^ AMORC英語圏本部(オーストラリア): https://amorc.org.au/
  10. ^ AMORC英語圏本部(ナイジェリア): https://amorc.org.ng/
  11. ^ AMORCスペイン語圏本部(メキシコ): https://rosacruz.org/
  12. ^ AMORCポルトガル語圏本部(ブラジル): https://amorc.org.br/
  13. ^ バラ十字会日本本部AMORC: https://www.amorc.jp/
  14. ^ AMORCフランス語圏本部: https://www.rose-croix.org/
  15. ^ AMORC英語圏本部(米国): https://rosicrucian.org/
  16. ^ Webサイト: https://www.rosicrucianpark.org/
  17. ^ 米国労働省ーファイル番号:70260906の非営利法人
  18. ^ ランダムハウス英語大辞典(1998、小学館、第2版)の「Rosicrucian」の項目
  19. ^ 日本語オンライン記事『子供のミイラのCTスキャン調査』:https://www.amorc.jp/child-mummy/

出典

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参考文献

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  • ロラン・エディゴフェル(Roland Edighoffer) (1991), 薔薇十字団, 文庫クセジュ, 白水社, ISBN 4-560-05722-2 
  • クリストファー・マッキントッシュ(Christopher McIntosh) (1990), 薔薇十字団, 平凡社, ISBN 4-582-47251-6 
  • Lanore『バラ十字会|彼らは一体、何者なのか。(Les Rose-Croix. Qui sont-ils vraiment?)』 No.1(2010年1-2月特集号)《特集号》、ラノール社(Editions Lanore)〈歴史の現実(Actualite de L'HITSOTIRE)〉、2010年。 
  • Christian Rebisse (2005), Rosicrucian History and Mysteries, the Grand Lodge of the English Language Jurisdiction, AMORC, Inc., ISBN 1-893971-05-8 
  • Christian Bernard (2001), Questions and Answers, the Grand Lodge of the English Language Jurisdiction, AMORC, Inc., ISBN 1-893971-02-3 
  • Lisa Schwappach-Shirriff (2004), Treasures of the Rosicrucian Egyptian Museum : A Catalogue, San José (California): Supreme Grand Lodge of the Ancient & Mystical Order Rosae Crucis, ISBN 978-1-893971-06-6